日本国民の約25%が杉やヒノキ花粉症と言われています。そして春だけでなく日本列島には杉、ヒノキとは別の花粉が夏や秋にも飛んでいて、症状を長引かせています。また花粉症は子供にもずいぶん増えてきて、5~9歳の14%が杉花粉症で、この割合は10年で2倍になりました。またダニやハウスダストにアレルギーがある子供の70%が花粉症を合併しており、発症年齢が若ければ若いほど重症化しやすいので今後が心配です。花粉症は一度発症すると自然治癒は少なく毎年悩まされることになります。
花粉症はある日突然発症します。去年まで何ともなかった方が今年3月くらいに急に鼻が詰まったり、鼻水が止まらなくなったり、目が痒くなったりします。
ほとんどの患者様は「どうも花粉症になったみたいです」と言ってクリニックに来られます。耳鼻咽喉科専門医ならしっかり問診したうえで鼻内所見を観察し、鼻汁を採取したうえで好酸球の増加をチェックして、アレルギー反応が起きているがどうか調べます。3月は花粉症と似た症状を生じる風邪や副鼻腔炎も多い時期です。是非専門医で検査をしていただきましょうね。
花粉症対策の基本はマスク、ゴーグルなどのセルフケアと抗ヒスタミン剤を中心にした対症療法(メディカルケア)の両方を毎日実行することです。年々症状がひどくなる方はこの二つの対策を怠っていることが多いようです。花粉症の症状は人それぞれ違いますし、年ごとでも花粉飛散量によって異なります。花粉症は生命に影響を与える病気ではないだけに、専門医は多くの治療法の中から、患者様一人ひとりのニーズに沿った治療法を提示します。そのなかで最も多くの患者様が求めるのが初期療法という日本独自の非常に優れた治療法です。
杉花粉の飛散は毎年、関東で1月末から2月初め、関西で2月上旬から始まります。症状が出る時期が予め判るのが杉花粉症です。鼻水などの症状は花粉が鼻粘膜にくっついた後、放出されたヒスタミンなどの化学伝達物質やサイトカインという免疫細胞からでる生理活性物質によるアレルギー反応です。それらの物質が細胞表面にある受容体にくっついて鼻水が出るわけで、花粉飛散前1~2週間前から花粉症や通年性アレルギー性鼻炎に対してよく処方される抗アレルギー薬を服用しておくと、薬が先に結合してヒスタミンなどが受容体に結合することを防いでくれるわけです。この薬は患者それぞれに合うもの、また副作用のあるなしなどありますから必ず診察をうけて医師と相談の上処方してもらってください。ただしこの初期療法をしたら全く症状が出ないというものではありません。また、いま花粉症でない方がならないための予防でもありません。
要約すれば、初期療法とは花粉が飛び出す1~2週間前から患者さんにあった抗アレルギー薬を1種類または2種類、シーズン終了まで服用し続ける。しかし症状が出たときは別の薬を追加するという治療法です。初期療法のメリットは症状が出る時期を遅らせることができる。飛散量の多い時期の症状を軽くできる。などですから毎年花粉症に悩まされている方は花粉飛散前に専門医を受診してくださいね。
杉花粉症の患者に杉の花粉の成分を薄めて少しずつ体内に入れていき、徐々に増やして慣れさせていくことで杉花粉に対する過敏反応を抑える。大まかにいえばこれがアレルゲン免疫療法の原理です。以前は皮下注射による免疫療法でしたが、毎回医療機関に行って医師に注射をしてもらわなければなりませんでした。しかし数年前から舌下に患者自身が自宅で毎日薬を1分間含む治療が普及してきました。咽頭には両側の口蓋扁桃を初め多くのリンパ装置があり、そこに沢山のリンパ球が待ち構えていて侵入してくるウイルスや細菌を効率よく始末してくれています。同じく異物である杉花粉も口に含んでいるうちに粘膜からしみ込んでいくうちに、リンパ球がウイルスなどと同様に捕食して免疫を形成していくのです。服作用は開始後の1~2週間くらいに口内の違和感が出ることがありますが、強い副作用はほとんどありません。前出の初期療法をしていてもなかなか症状をコントロールできない方は相談してみてください。ただし3年間は治療を継続できることが条件になります。
西神中央停留所下車 徒歩1分
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医院名 | 医療法人社団 マスイ耳鼻咽喉科 |
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院長 | 増井 裕嗣 |
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